生い立ち カウンセラー時代

当時、あまり知られていなかったDVの被害者の方々に出会う機会があり、
私はそれまで、夫婦や恋人同士の間で
「暴力によって一方を支配する」という関係が成り立つということを知らず、衝撃を受けました。

「誰もが平等」
「誰もが相手を大切にする」
それが当たり前だと思って生きてきた幸せ。
そうではないと知ってしまった後の何とも言えないじわじわと感じる恐怖。

被害者の話を聞けば聞くほど、凄惨な実態を知ることになり、それが近しい関係で行われ、
逃げられない
助けてもらえない
信じてもらえない
被害者の叫びは当時の警察にも弁護士にも届かないと言われました。

私は、DV被害者を支える活動として、カウンセラーとして同行支援を行うようになりました。
同行支援とは、被害者が警察へ被害届を出すときや、弁護士に離婚の相談に行くとき、被害者と一緒に行って精神的な支えとなる活動です。

ある時、
同行支援で女性弁護士のところに被害者と一緒に行ったところ、その女性弁護士はDVに理解を示さず
「そのくらい我慢すればいい、殴られるのはあなたにも悪いところがあるんじゃないか」
などと、被害者に酷い言葉を投げました。

私は、同行者の立場に過ぎませんでしたが、ついその弁護士に
「そんな言い方はないと思います。この人は勇気を出してやっと逃げてきたんです。」
と言ったところ
「弁護士でもないもんがモノを言うな!!」
と怒鳴られました。

「それなら弁護士になってきます!」
と言い返したのが、今の私が弁護士という仕事をしているきっかけです。

当時はまだ30代で若かったから、そんなことが言えたのかな、とお恥ずかしい限りです。